「候補を見比べるだけで疲れる」を、AIに手伝ってもらう
秋は行楽シーズン。旅行の計画を立てようとして、候補地のサイトやパンフレットを何十個も見比べているうちに、決める前に疲れてしまった――という声をよく聞きます。
そんなとき、「AIに聞けば早いらしい」という話を耳にしても、「AIは間違った情報を混ぜてくることがあると聞くし、なんだか不安」と一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、その不安は正しい距離感です。AIは旅行計画の「下書き係」であって、最終確認は自分で行うもの、と割り切って使えば、候補出し・日程の組み立て・持ち物リストづくりのたたき台を、数分で出してくれる心強い相棒になります。
この記事では、AIに旅行の相談をするときの「聞き方」5つと、AIの答えを鵜呑みにしないための確かめ方を紹介します。
※ AIの基本的な始め方(アプリの入手・最初の質問のしかた)は、AIって何ができる?「まだ怖い」50代が無料で試せる最初の3歩 で詳しく解説しています。「AIって何ができる?」から知りたい方は先にそちらをどうぞ。
なぜAIの旅行提案は「間違えることがある」のか
AI(生成AI)は、インターネット上の膨大な文章から「それらしい答え」を組み立てて返す仕組みです。そのため、実際には存在しない観光地や施設、時間内には到底移動できない行程を、もっともらしい文章で提案してしまうことがあります。
観光関係の事業者向けに国(観光庁)がまとめた手引書にも、次のように書かれています。
生成AIが出力した結果を情報発信のコンテンツとして提供する際に、実在しない観光地や施設、時間内で移動できない場所を出力するリスクがあります。旅行者にとっては誤っているかどうかの判断がつきにくく、混乱を招くおそれがあります。
(出典:観光庁「観光地・観光産業の生成AIの適切な活用に向けて」令和7年2月 取得日2026-09-03)
この手引書は観光事業者向けに作られたものですが、書かれているリスクそのものは、私たちが個人で旅行の相談をするときにもそのまま当てはまります。
同じ手引書には、実際に起きた例も紹介されています。「熱海市で富士山が見えるスポット」とAIに聞いたところ、「5つあります」として熱海城なども挙げられましたが、実際に富士山が見えるのは十国峠と初島の2か所のみで、熱海城からは見えなかった、と手引書では説明されています。もっともらしく、自信満々に間違えることがある――これがAIの旅行提案における最大の弱点です。
だからこそ、「聞き方」を工夫して精度を上げつつ、最後は必ず自分の目で確かめる、という2段構えが欠かせません。
聞き方①:条件を全部、先に渡す
AIは、与えられた条件の中でしか考えられません。条件を小出しにすると、そのたびに前提がずれた提案が返ってきてしまいます。最初のひとことに、次の条件をまとめて書きましょう。
- 人数・年代(例:50代夫婦2人)
- 体力(長い階段や山道が平気かどうか)
- 予算のめやす
- 日数と出発地
- 移動手段(車・電車・飛行機など)
- 好き嫌い(温泉は好き/混雑は苦手、など)
⚠️ 個人情報は入力しない:氏名・住所・電話番号・同行者の実名などは入れず、「50代夫婦2人」のような属性だけを伝えれば十分です。国の個人情報保護委員会も、生成AIに入力した内容が学習に使われ、他の情報と結びついた形で外部に出力されるリスクがあることを注意点として挙げています。
(出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」2023年6月2日 取得日2026-09-03)
聞き方②:「候補を3つ、理由つきで」と頼む
いきなり「おすすめの旅行先は?」と聞くと、一般論の答えが返ってきがちです。候補の数を指定し、理由もセットで求めると、比較しやすい形で返ってきます。
たとえば「①の条件で、行き先の候補を3つ、それぞれ向いている理由つきで挙げて」という聞き方です。ここで挙がる地名・スポット名(本記事では伏せて「〇〇温泉」「A地方」のように表記します)は、あくまで下書きの候補です。次のステップで、実在するか・条件に合うかを自分で確認する前提で見てください。
聞き方③:日程は「移動時間込みで無理のない順番に」頼み、移動時間は自分の地図アプリで確認する
行き先が絞れたら、日程の組み立てを頼みます。ここでのコツは「移動時間込みで、無理のない順番に組んで」と条件を添えることです。何も指定しないと、実際には移動だけで半日かかるような詰め込みすぎの行程が返ってくることがあります。
ただし、AIが出す移動時間の数字は、そのまま信じないでください。観光庁の手引書も、AIが「時間内で移動できない場所」を出力するリスクを挙げています。行程の骨格ができたら、実際の移動時間はスマホの地図アプリ(乗換案内・カーナビ機能など)で自分の目で確認するのが、この聞き方をセットで機能させるコツです。
聞き方④:「季節と年代を伝えて」持ち物・服装・注意点を頼む
持ち物リストや服装の目安は、AIが比較的得意な分野です。ここでも「10月・50代夫婦・2泊3日」のように季節と年代を伝えると、汎用的すぎないリストが返ってきやすくなります。
- 「〇月・△△地方への旅行。50代、体力は普通です。持ち物と服装の注意点を教えて」
ただし、これも「たたき台」です。現地の気温や交通機関の運行状況など、直前に変わる情報は、出発前に必ず公式サイトや天気予報で確認してください。
聞き方⑤:最後に「確かめる聞き方」で締める
ここが、AIとの旅行相談でいちばん見落とされがちな聞き方です。候補や日程が固まってきたら、AI自身に答えの弱点を教えてもらう質問を投げましょう。
- 「この中で、あなたが確信のない情報はどれ?」
- 「公式サイトで確認すべき点を挙げて」
この聞き方をすると、確認が必要そうな項目をAIが並べてくれます。ただし、AI自身の「自信」はあてになりません(自信満々に間違えるのが、上の熱海の例です)。この一手間は「どこから裏取りするか」の当たりをつける道具と考えてください。挙がった項目は必ず公式サイト・地図アプリ・電話などで確認し、挙がらなかった項目も「確認済み」とは思わないでください。
実際に、生成AIで国内旅行を計画したことがある人を対象にした民間調査(2026年1月・630人)では、AIの提案を受けたあとに「インターネットで検索して確認した」人が48.1%、「Googleマップで確認した」人が46.7%にのぼり、AIの提案をそのまま採用しなかった理由の1位は「クチコミ・レビューの不安」(35.4%)だったと報告されています。多くの人が、AIの提案を鵜呑みにせず自分で確かめるひと手間を挟んでいる、という一つの参考データです。
(出典:株式会社宿研「【2026年】旅行計画での生成AI活用実態|630人の行動データで見る『地方誘客』への影響と課題」2026年1月調査 取得日2026-09-03。※この調査は本記事の主張の裏付けではなく、参考情報として紹介しています)

使うツール、どこまで無料でできる?(2026年9月3日時点)
代表的な2つのAIチャットで、無料の範囲を確認しておきましょう。モデル名や具体的な回数の上限は、改定が速く公式も「変わることがある」と明記しているため、ここでは書きません。
ChatGPT(無料プラン):OpenAI公式のヘルプページ(英語)によると、無料ユーザーは日常的なテキストでのやりとりを回数の制限なく(不正利用防止のための制限はあります)使うことができ、あわせてウェブ検索で最新情報を調べさせたり、画像やファイルをアップロードして質問に使ったりすることも可能です。
ただし、ファイルのアップロードや画像生成などには、テキストとは別に上限があります。また「既定のモデルや使える上限は、時間とともに変わることがある」と公式に明記されています。
(出典:OpenAI Help Center「ChatGPT Free Tier FAQ」 取得日2026-09-03)
Gemini(無料プラン):Google公式の料金ページによると、Geminiアプリの無料プランは月額0円で利用できます(無料プランでは使える量に上限があります。上限の数字は改定が速いのでここでは書きません)。スマホでの使い方は、公式ヘルプ(iPhone・iPad版とAndroid版で手順は同じです)を要点だけまとめると次の3つです。
1. 「gemini.google.com」を開くか、Geminiのモバイルアプリを開く
2. テキストボックスに質問を入力する
3. 送信する
なお、この公式ヘルプには「Gemini アプリは間違えることがあります。Gemini アプリを使用する際は、回答を再確認し、専門的な助言については Gemini アプリの回答に依拠しないでください」とも書かれています。AIを提供している側が「再確認してください」と言っている、ということは覚えておきたい点です。
(出典:Google Gemini公式サイト(料金ページ)/Google「Gemini アプリを使用する – iPhone と iPad – Gemini アプリ ヘルプ」「Gemini アプリを使用する – Android – Gemini アプリ ヘルプ」 いずれも取得日2026-09-03)
どちらも、まずは無料の範囲で「聞き方5つ」を試してみるので十分です。
宿の予約はAIに任せず、必ず公式・予約サイトで
AIに旅程の下書きをしてもらったあとの宿泊先の予約は、実在の空室状況・料金・キャンセル規定を扱う場面です。AIの提案をそのまま信じて予約するのではなく、必ず宿泊予約サイトや宿の公式サイトで、料金・空室・キャンセル条件を自分の目で確認してから予約してください。
まとめ:AIは「下書き係」、確認は自分で
1. 条件は先に全部渡す:人数・年代・体力・予算・日数・出発地・移動手段・好き嫌いをまとめて伝えると、たたき台の精度が上がる。
2. 候補は3つ+理由、日程は移動時間込みで:ただし移動時間はAI任せにせず、自分の地図アプリで確認する。
3. 最後は「確かめる聞き方」で締める:「確信のない情報はどれ?」「公式サイトで確認すべき点は?」と聞き、挙がった項目を自分で裏取りしてから予定に組み込む。
今日の1アクション
次の旅行の相談を始める前に、まず「人数・年代/体力/予算/日数と出発地/移動手段/好き嫌い」の6つの条件を、メモアプリに書き出してみましょう。それをそのままAIへの最初のひとことにすれば、聞き方①はもうクリアです。
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※本記事は公開情報をもとに作成しています。料金・仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
※本文中の一般的な事例は、特定の個人の体験ではなく一般化した内容です。
【AI利用について】本記事は、構成案の作成・本文の下書き・整合性の検証にAIを活用していますが、掲載内容は執筆者本人が確認し、責任を持って公開しています。
出典
- OpenAI Help Center「ChatGPT Free Tier FAQ」(取得日2026-09-03) https://help.openai.com/en/articles/9275245-chatgpt-free-tier-faq
- Google「Gemini アプリを使用する – iPhone と iPad – Gemini アプリ ヘルプ」(取得日2026-09-03) https://support.google.com/gemini/answer/13275745?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DiOS
- Google「Gemini アプリを使用する – Android – Gemini アプリ ヘルプ」(取得日2026-09-03) https://support.google.com/gemini/answer/13275745?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DAndroid
- Google「Google AI Pro と Ultra で Gemini 3.1 Pro などにアクセス」(Gemini料金ページ・日本向け表示、取得日2026-09-03) https://gemini.google/jp/subscriptions/
- 観光庁「観光地・観光産業の生成AIの適切な活用に向けて」(令和7年2月/2025年5月20日公表、取得日2026-09-03) https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics12_00010.html (PDF:https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001888805.pdf )
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日、取得日2026-09-03) https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ (別添1PDF:https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf )
- 株式会社宿研「【2026年】旅行計画での生成AI活用実態|630人の行動データで見る『地方誘客』への影響と課題」(2026年1月調査、取得日2026-09-03) https://www.yadoken.net/archives/column/generative-ai-travel-planning-survey-2026

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