「10年以上使っているテレビやレコーダー、買い替えたほうが電気代は得なのかな」電気代が気になる季節になると、こういう声をよく聞きます。
買い替えは安い買い物ではありません。買う前に、いま使っている家電が実際にどれくらい電気を使っているかを測ってみるのは、筋のいい手です。ただし、冷蔵庫やエアコンのように止まると困る家電・大電力の家電は、この方法に向きません(理由は本文で説明します)。
測ることをスマホでできるのが、電力モニタリング機能つきのスマートプラグ(コンセントと家電の間に挟んで、電気の使用量をスマホで見られる機器)です。
最初に、いちばん大事なことを書きます。 この方法は、暖房器具(電気ストーブ・こたつ・電気毛布・ホットカーペット・ファンヒーターなど)には使いません。 熱を出す大電力の家電も同じです。メーカーが接続を禁じている、または推奨していないからです。理由は、同じシリーズの記事で詳しく書いています。
- 消し忘れが心配なら。暖房を自動化していい家電・ダメな家電 — 暖房器具にスマートプラグを挟まない理由
測るのは、テレビ周りやパソコン周りなど、熱を出さない普段使いの家電が中心です。測り方から買い替えの判断までの流れは、次の図のとおりです。

測る前の確認1:測らない家電を先に決める
測らない家電(使用禁止)
- 暖房器具(電気ストーブ・こたつ・電気毛布・ホットカーペット・ファンヒーター)
- 熱を出す家電(ドライヤー・電気ケトル・アイロン・炊飯器・トースターなど)
- ヒーターで温める機能を持つ家電(迷ったら測らない)
- エアコン(大電力で、プラグでは電源を入れ直せない機器のため)
- 止まると困る機器:冷凍庫(冷凍専用のもの。止まったときに傷む食品が多いため)、医療機器、Wi-Fiルーター(ルーターはプラグ自体がWi-Fi経由で動くため、オフにすると外出先から戻せなくなります)
TP-Link(Tapo)の公式FAQには、「電熱器具など遠隔操作に失敗することで事故や火災などにつながるおそれのある器具の接続は禁止されています」と書かれています。
出典:TP-Link公式FAQ「Tapoスマートプラグに接続できる電化製品の見分け方を教えてください。」(取得日:2026年10月13日)
https://www.tp-link.com/jp/support/faq/3417/
測ってよい家電(例):テレビ・レコーダー(待機中の電気も測れます)、パソコン・モニター、ゲーム機・オーディオ機器
条件つき:冷蔵庫・除湿機・空気清浄機・扇風機など、モーターで動く家電。確認が取れるまで測りません(冷蔵庫は後半の「落とし穴」で)。
測る前の確認2:測る家電のW数と、プラグの「最大負荷」を先に調べる
スマートプラグには、使える電気の上限(最大負荷)が決まっています。順番は次のとおりです。
1. 測りたい家電の「定格消費電力(W)」を調べる。 本体の銘板(型番などが書かれたラベル)、取扱説明書、メーカーの製品ページにあります。
2. プラグの「最大負荷」を調べる。 製品ページの仕様表や取扱説明書にあります。
3. 家電のW数が、最大負荷を超えていないことを確かめる。 超えるなら、そのプラグで測ってはいけません。
冷蔵庫の場合、ドア内側のラベルやカタログに載っているのは、主に1年間の消費電力量(kWh)です(日立の公式Q&Aによる)。W数は、取扱説明書や仕様表で確認します。定格消費電力が「電動機」と「電熱装置(霜取りのヒーター)」に分けて書かれている機種もあります(例:パナソニックの仕様表では電動機52W(50Hz。60Hzでは56W)・電熱装置120W)。その場合は合計で、プラグの上限と比べます。確認が取れなければ、測りません。
出典:日立の家電品「冷蔵庫の電気代、消費電力量の目安を教えてください。」/パナソニック 冷蔵庫NR-B17BW 仕様(いずれも取得日:2026年10月13日)
https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/q_a/a115.html
https://panasonic.jp/reizo/products/NR-B17BW/spec.html
メーカー公式の仕様表の例です(製品名は例で、おすすめではありません)。
- TP-Link「Tapo P110M」:最大負荷 1500W・15A。仕様表に「1/6 HP Motor」というモーター負荷の記載もあります。
- SwitchBot「プラグミニ」:定格電力 1500W、電流 15A(最大)。15Aを超えると過負荷保護で自動オフになります。
出典:TP-Link Tapo P110M 製品ページ/SwitchBot プラグミニ 製品ページ(いずれも取得日:2026年10月13日)
https://www.tapo.com/jp/product/smart-plug/tapo-p110m/
https://www.switchbot.jp/products/switchbot-plug-mini
「モーター負荷」の記載がある製品は、モーター家電(冷蔵庫・除湿機・扇風機など)を測れるかを、取扱説明書やメーカーのサポートで確認してください。 意味が分からない、確認が取れないときは、その家電は測らないでください。数字は製品や時期で変わるので、お手元の製品の仕様で確認するのが基本です。
測る前の確認3:PSEマークと技適マークを見る
- PSEマーク:電気用品安全法にもとづく表示です。経済産業省によると、事業者は基準に適合した電気用品に、PSEマークや事業者名、定格電流などの表示を付すことができ、販売する事業者は表示を確認してから販売することになっています。
- 技適マーク(と技適番号):Wi-Fiなど電波を使う機器が、電波法の技術基準に適合していることを示します。総務省は、技適のない機器がネット通販で売られているとして確認を呼びかけています。
出典:経済産業省「届出・手続の流れ(電気用品安全法)」/総務省 北海道総合通信局「無線機器の使用には、技適マークを確認しましょう」(いずれも取得日:2026年10月13日)
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/procedure.html
https://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/giteki.html
マークがあれば絶対に安全、という意味ではありません。上限を守り、説明書どおりに使うことが前提です。表示が見つからない製品は、メーカーへ問い合わせるか、見送るのが無難です。
スマートプラグで測る手順(1週間)
画面の名前や項目は、製品やアプリで違います。 迷ったら、同梱のクイックガイドとアプリの案内を優先してください。
1. 測る家電を1〜2台に絞る
「つけっぱなしかも」と思う、テレビ・レコーダー周りから始めると、数字の違いが見えやすいです。W数の確認は、前の章のとおりです。
2. プラグだけで初期設定をする
家電をつなぐ前に、プラグだけを壁のコンセントに挿して、アプリの案内に沿って設定します。
- Wi-Fiは2.4GHzで接続します(今回確認した2製品は、5GHzには対応していません)。
- 延長コードやタコ足の先で使ってよいかは、取扱説明書で確認してください。
3. 電気料金の単価を設定する
Tapoのアプリでは、電気料金を設定すると、使った量から「予想される電気料金」が表示されます(TP-Link公式ページの説明)。SwitchBotの公式ページでは、単価設定の記載を確認できませんでした。製品により異なります。
単価は、検針票(電気の使用量のお知らせ)で分かる、ご自分の契約の単価がいちばん正確です。
4. 家電をつないで、いつもどおり1週間使う
測るために使い方は変えません。
ただし、テレビなど電源ボタンで入れるタイプは、プラグ側でオフ→オンにしても待機モードに戻るだけです。TP-Link公式FAQも、こうした機器はスマートプラグでの電源の入り切りには使えないと案内しています。測定中は、プラグをオフにせず、本体のボタンで操作してください。
5. 1週間たったら、数字をメモする
アプリの使用量(kWh)をメモします(スクリーンショットでも構いません)。履歴を見られる期間は製品で違うので、忘れずに残します。
6. 測り終えたら、元に戻す
元のコンセントにつなぎ直すか、そのまま使うかを決めます。スケジュールやタイマーの設定が残っていないか、必ず確認してください。
落とし穴:冷蔵庫など「止まると困る家電」を測るとき
冷蔵庫は、無理に測らなくて構いません。 年間の消費電力量は、カタログや本体のラベルにあり、大まかな見当はそれで付くからです。
それでも測るなら、電源が気づかないうちに切れるかもしれないことを理解しておいてください。
- スケジュール・タイマー・自動オフ・「おでかけモード」が設定されて、時間になると切れる
- 家族がアプリや本体のボタンで、うっかり切る(プラグがずれる・抜ける場合も)
- 上限を設定すると、それを超えたときに電源を切る機能(Tapo)や、過負荷で自動オフになり、復帰に本体のボタンを手で押す必要がある仕組み(SwitchBot)。アプリの不具合やWi-Fiの切断で、状態が分からなくなることもある
電源が切れると、庫内の食品が傷むおそれがあります。旅行や出張で家を空けている間は、気づけません。
測るなら、これを守ってください
- スケジュール・タイマー・自動オフ・おでかけモード・電力の上限による自動オフは、一切設定しない。
- 家族に「冷蔵庫のプラグとアプリは触らない」と伝える。
- 測っている間も、毎日、庫内が冷えているか確認する。
- 家を数日空けるときは、測定を中止して元のコンセントに戻す。
迷うときは、測らないのが正解です。冷蔵庫を止める危険を冒してまで測る価値はありません。
電気代の目安に直す計算
電気代の目安(円)= 使用量(kWh)× 電気料金の単価(円/kWh)
家電メーカーのカタログなどの電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)の目安単価で計算されています。現在の目安単価は1kWhあたり31円(税込)です(令和4年7月22日に改定)。
出典:全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」(取得日:2026年10月13日)
https://www.eftc.or.jp/qa/
実際の単価は、契約や時期によって違います。 31円は比べるための目安です。契約そのものを見直したいときは、次の記事が役立ちます。
- 電気代が高い…スマホ15分の電力プラン見直し前チェック — 単価そのものを下げたいとき
計算の例(仮の数字・サンプルです):1週間の使用量が1.4kWhなら、1週間の電気代は1.4×31円=約43円。1年(約52週)では約73kWhで、約2,260円です。アプリの「電気料金の目安」も、同じ考え方の概算です。
測った数字を、買い替え判断にどう使うか
次の3つのどれになりそうか、考えます。①使い方を見直す ②買い替えを検討する ③このまま使う
待機電力を減らす見直し
資源エネルギー庁によると、主電源を切らないと、リモコンの指示待ちなどでわずかに電気を消費します。最近のテレビは待機時の消費電力が大きく減り、0.1W以下の機種も増えています。
出典:資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」(取得日:2026年10月13日)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/choice/
古いテレビやレコーダーで、使っていない間も、ある程度の電力が続けて出ているなら、使わない時間はプラグごとオフにする見直しが考えられます。
副作用があります。 レコーダーは録画予約が動かなくなります。時計や設定、自動アップデートが止まる機器もあります。また、電源ボタンで入れるタイプは、プラグをオンにしても待機のままで、使うたびに本体のボタンが要ります。
買い替えるか迷ったとき
資源エネルギー庁のページには、最近の製品は10年前と比べて、冷蔵庫で約15〜24%、省エネタイプのエアコンで約13%の省エネになっていると書かれています。ただし、平均的な目安であって、あなたの家の家電が何割減るかを約束する数字ではありません。
例:回収に何年かかるか(仮の数字・サンプルです):古い家電の年間電気代が約12,000円で、新しいものが2割少ない電気で済むと仮定すると、年に約2,400円の差です。新しい家電が10万円なら、電気代の差だけで元を取るのに40年あまりかかります。
電気代の差だけで決めるのは難しいこともあります。故障が増えた・容量が合わない・古くて不安、といった電気代以外の理由があるなら、買い替えを考える材料になります。
冷蔵庫は、カタログの数字と単純に比べられません。 日立の公式Q&Aによると、消費電力量はJISの測定基準で算出されていて、2016年以前の冷蔵庫はJISの測定方法が異なるため、並べても正しく比較できません。買い替えを検討するときは、新しい製品の年間消費電力量を、カタログや統一省エネラベルなどメーカーの公式情報で確認しましょう。
落とし穴:測定値と電気代の目安は概算です
- 測定の精度は製品ごとに違います。 今回確認した公式ページには精度の数値がなく、1W未満のような小さな数字は当てにしないほうが無難です。
- アプリの電気料金は、設定した単価で計算した概算で、実際の請求額とは一致しません。
- 1週間の数字を52倍する計算は、粗い見積もりです。冷蔵庫は、季節や設置場所、使い方で増減します(日立の公式Q&Aも注意しています)。
まとめ
- 熱を出す家電・暖房器具・大電力の家電には使わない。 測る前に、家電のW数とプラグの最大負荷を必ず確認する。確認が取れなければ測らない。
- 冷蔵庫など止まると困る家電は、無理に測らない。 測るなら、タイマー類は一切入れず、家を空けるときは中止する。
- 電気代の目安は「使用量(kWh)× 単価」。 31円は目安(2026年10月13日時点)で、実際は契約で違います。測定値は概算なので、買い替えは電気代以外の理由も含めて決めましょう。
今日の1アクションは、「測ってみたい家電を1台決めて、その定格消費電力(W)を銘板か取扱説明書で確認する」ことです。プラグを買うのは、そのW数が最大負荷に収まると分かってからで十分です。
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※本記事は公開情報をもとに作成しています。記載の製品仕様・料金・目安単価は取得日時点のものであり、メーカーの仕様変更や改定により内容が変わる場合があります。実際に機器を使用する前に、お使いの製品の取扱説明書・メーカー公式サイトの最新情報を必ずご確認ください。
※本文中の数字の計算例は、仕組みを示すためのサンプルで、特定の製品や個人の実測値ではありません。
※特定の製品をおすすめする記事ではありません。本文中の製品名は、公式の仕様を例として示すために挙げたものです。
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