「お荷物のお届けにあがりましたが不在でした」「お客様のカードでご利用を確認しました」。
そんなSMSやメールが届いて、一瞬ドキッとしたことはありませんか。
慌ててリンクをタップしそうになったけれど、なんとなく踏みとどまった。逆に、うっかりタップしてしまってから「あれ、大丈夫だったかな」と不安になった。そんな経験のある方も多いと思います。
先に結論をお伝えします。この記事で覚えていただきたいのは、たった一つのルールです。
「届いた通知の中のリンクは踏まない。確認は自分で開いた公式アプリ・公式サイトからやり直す。」
これを習慣にしておくと、詐欺の文面がどれだけ巧妙になっても、あわてて情報を渡してしまう場面をかなり減らせます。ただし、これだけで詐欺を完全に防げるわけではありません。この記事では、なぜ今このルールが大事なのか、迷ったときの確認手順、一度やっておけば効く設定、そして万一被害に遭ってしまったときの相談窓口まで、順番にまとめました。
「日本語がおかしいから分かる」は、もう通用しません
少し前まで、詐欺メール・詐欺SMSを見分けるコツとして「日本語が不自然」「変換ミスがある」といったことがよく言われていました。
ですが、この見分け方だけに頼るのは、もう危険です。
フィッシング対策協議会は、こう書いています。
フィッシングメールは、正規のメールを複製したり、AIで自然な日本語を生成したりして、本物と見分けがつきません。
つまり「よく読めば分かる」という前提そのものが崩れている、というのが対策の専門機関の見方です。
だからこそこの記事では、文面のおかしさを探す方法ではなく、「リンクを踏まない」「確認は自分でやり直す」という行動そのものをルール化することをおすすめしています。文面がどれだけ自然でも、行動のルールを守っておけば、被害に遭うリスクを下げられます。
なお、詐欺の手口はリンクを踏ませるものだけではありません。メッセージに書かれた電話番号にかけさせる、検索結果の広告から偽サイトへ誘導する、偽アプリを入れさせる、といった形もあります。「リンクさえ踏まなければ絶対に安全」ではないことは、頭の片隅に置いておいてください。
※出典:
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日公開・取得日2026-08-21)
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html
組織向けの脅威に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれました。個人向けの脅威にも「フィッシングによる個人情報等の詐取」が挙げられています。
警察庁「フィッシング対策」(取得日2026-08-21)
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/countermeasures/phishing.html
「電子メールやSMS内のリンクを安易にクリックせず、あらかじめ公式サイトを『お気に入り』や『ブックマーク』に登録しておいたり、公式アプリを活用するなどして正しいサイトに接続するように」と呼びかけられています。
フィッシング対策協議会「フィッシングとは」(取得日2026-08-21)
https://www.antiphishing.jp/consumer/abt_phishing.html
上の引用(「フィッシングメールは、正規のメールを複製したり…」)はこのページの原文です。
通知が来たら、この順番で確認する(保存版)
怪しいと思っても思わなくても、次の順番を思い出してください。落ち着いて一つずつ進めば大丈夫です。
1. まず、その場でリンクをタップしない
ドキッとした勢いでタップするのがいちばん危ないパターンです。一度画面を閉じて、深呼吸をしましょう。
2. 差出人・送信元をよく見る
表示名は本物そっくりでも、実際のメールアドレスや電話番号が見慣れないものになっていないか確認します。ただし、これも巧妙に偽装されることがあるため、次のステップの方が確実です。
3. 通知の中のリンクではなく、自分で公式アプリ・公式サイトを開き直す
通知の中のリンクは使わず、前から使っている公式アプリか、自分で登録しておいたブックマークから、その会社のページを開き直します。そこにログインして状況を確認してください。ここが一番大事な手順です。
「アプリもブックマークもない」という場合は、こうしてください。
- カード会社:お手元のカードの裏面に電話番号が書かれています。そこにかけて確認するのがいちばん確実です。
- 宅配便:不在票が入っていないかを先に確認してください。正規の不在票には問い合わせ先が書かれています。不在票が入っていなければ、そもそも荷物が来ていない可能性があります。
- 公式アプリを入れる場合:App Store/Google Play を開いて、その中で会社名を検索します(通知の中のリンクからは入れないでください)。⚠️ 検索結果の一覧から、そのまま入れないでください。 まずアプリをタップしてそのアプリのページを開くと、そこにそのアプリを出している会社の名前が書かれています。よく似た名前の別のアプリが並んでいることがあります。 探している会社と関係のない会社名になっていたら、入れないでください。
なお、会社名は合併や社名変更で見慣れないものになっていることがあります。迷ったら、いったん入れずに、その会社の公式サイトからアプリのページへのリンクをたどってください。
⚠️ 急いでいるときに、ブラウザの検索結果からそのまま開くのは避けてください。 検索結果の広告に偽サイトが紛れることがあります(App Store/Google Play の中で検索するのは別の話です。ひとつ上の「公式アプリを入れる場合」は、そちらのことです)。
落ち着いているときにやっておくと、いざというときに迷いません。 ふだん使うカード会社・銀行・配送会社の公式サイトを、急いでいないときに検索して開き、ブックマークに登録しておいてください。このときも、検索結果の上のほうには広告が並ぶことがあります(表示のされ方は時期によって変わります)。順番ではなく、会社の正式名称のページかどうかで選んでください。
4. リンク先の画面でID・パスワード・カード番号を入力しない
フィッシング対策協議会のガイドラインでは、メールやSMSのリンク先で個人情報を入力しないこと、入力する前にひと呼吸置くことが、利用者が最低限守るべきポイントとして挙げられています。
※出典:フィッシング対策協議会「利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン 2026年度版」(取得日2026-08-21)
https://www.antiphishing.jp/report/guideline/consumer_guideline2026.html
5. 迷ったら誰かに相談する
一人で判断せず、家族や後述の公的な相談窓口に聞いてみましょう。「相談する」を選択肢に入れておくだけで、焦って判断ミスをするリスクがぐっと下がります。

この5ステップは、上の図解をスクリーンショットで保存しておくと、いざというときにすぐ見返せます。
よくある「詐欺の型」を知っておく
具体的な企業名を挙げることはしませんが、報告されている詐欺には共通する「型」があります。型を知っておくだけでも身構えやすくなります。
- 宅配便の「不在通知」を装うSMS(スミッシングと呼ばれます)
- カード会社・通信会社を装う「お支払いに問題がありました」というメール
- 「当選しました」「還付金があります」といった、うまい話をきっかけにするもの
- 家族や知人になりすまし、緊急を装ってお金や個人情報を求めるもの
どの型にも共通しているのは、「急がせる」「不安にさせる」ことで、こちらに考える時間を与えない点です。急かされている、と感じたら、それ自体が注意サインだと考えてください。
今日からできる「技術で守る」設定
ガイドラインでは、行動の注意とあわせて「技術で守る」ことも推奨されています。次のような機能は、一度設定しておけば普段は意識せずに守ってくれる、いわば見えないガードです。
- 多要素認証(2段階認証):パスワードに加えて、スマホへの通知や確認コードでも本人確認を行う仕組みです。パスワードだけが漏れても不正ログインされにくくなります。
【気をつけること】 確認コードの受け取りに使っているスマホを機種変更・紛失すると、そのままではログインできなくなります。設定するときに一緒に表示される「バックアップコード」「予備の連絡先」を、必ず紙などに控えて保管してください。
- パスキー:パスワードの代わりに指紋や顔認証でログインする新しい仕組みです。対応しているサービスから順に設定しておくと安心です。
【気をつけること】 登録した端末が手元にないとログインできない場合があります。当面はパスワードも併用できる設定にしておき、いきなりパスワードを消さないでください。
- 迷惑メール・SMS対策機能:スマホのメールアプリや携帯会社には、迷惑メール・迷惑SMSを自動で振り分ける機能が用意されています。
【気をつけること】 連絡先に登録していない相手からのメッセージがまとめて別の場所に振り分けられるため、宅配の再配達通知・病院の予約確認・自治体からのお知らせ・銀行のワンタイムパスワードまで届かなくなることがあります。オンにしたら、週に一度は振り分け先のフォルダを開いて確認してください。
⚠️ ただし、銀行などの「確認コード」だけは、週に一度では間に合いません(短い時間で使えなくなるためです。どのくらいで切れるかは金融機関によって違います)。ネットバンキングや買い物で確認コードを受け取るときは、届かなければすぐに振り分け先のフォルダを見てください。それでも間に合わないようなら、その手続きの間だけ機能をいったんオフにするのが確実です。
離れて暮らすご家族に勧めるときは、この点を必ず一緒に伝えてください。
- OSやアプリの更新:警察庁も、フィッシング対策として「OSやアプリ、ソフトウェアのアップデートを行い、パソコンやスマートフォンを安全な状態に保ってください」と呼びかけています。もっとも基本的で、失うものが少ない対策です。
※出典:フィッシング対策協議会「利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン 2026年度版」(取得日2026-08-21・前掲URL)/警察庁「フィッシング対策」(取得日2026-08-21・前掲URL)
設定する場所は、機能によって違います
「スマホの設定アプリを開けばどれも見つかる」と思われがちですが、実際は置き場所がばらばらです。
- 多要素認証(2段階認証)・パスキー:スマホ本体の設定ではなく、サービスごとに設定します。iPhoneをお使いなら「設定」→ 一番上のご自身の名前 →「サインインとセキュリティ」→「2ファクタ認証」(Appleでの呼び方が「2ファクタ認証」です)。Googleアカウントは「Google アカウントを管理」→「セキュリティとログイン」。銀行・カード会社は、それぞれの公式サイト/アプリの「セキュリティ設定」から探してください。
- 迷惑SMS対策:iPhoneは「設定」アプリではなく「メッセージ」アプリの中にあります。メッセージアプリを開いて右上 →「フィルタリングを管理」→「不明な差出人をスクリーニング」。Androidで「メッセージ」アプリ(Googleメッセージ)をお使いの場合は、アプリを開いて右上のプロフィール写真(またはイニシャルの丸)→「メッセージの設定」→「保護機能と安全性」→「スパム対策」。
- 迷惑メール対策:携帯会社のメールアドレス(@docomo.ne.jp、@au.com、@softbank.ne.jp など)のフィルタは、スマホ本体ではなく契約中の携帯会社のマイページで設定します。
⚠️ ここで挙げた画面の名前と場所は、iPhone は iOS 26 世代、Android は「Googleメッセージ」アプリを使っている場合のものです(確認日2026-08-21)。表示や階層は機種・OSのバージョン・携帯会社によって変わります。 見つからないときは、携帯会社のショップや公式サイトのサポートページで確認するのが確実です。
もしリンクを開いてしまった・情報を入力してしまったら
ここまで読んで「もう入力してしまったかも」と不安になった方もいるかもしれません。大丈夫です。ご自身を責める必要はありません。落ち着いて次の順番で対応すれば、被害を小さくできる可能性が高まります。
1. 【最優先】カード番号を入力してしまった場合は、カード会社にすぐ連絡する(利用停止・利用確認を依頼します。不正利用は数分単位で進むことがあるため、何よりも先に電話してください)
2. 【最優先】銀行やネットバンキングのログイン情報を入力してしまった場合は、取引先の金融機関にすぐ連絡する(こちらも時間との勝負です。口座の凍結や取引の停止を依頼します)
3. 同じパスワードを使っている他のサービスも含めて、パスワードを変更する(使い回していると、1か所の漏えいが他のサービスにも広がります)
4. 不安なとき、判断に迷うときは警察相談専用電話「#9110」に相談する
事件・事故になっていなくても相談できる窓口です。受付時間は平日の午前8時30分〜午後5時15分。土日祝日と時間外は、24時間受付の一部の県警を除いて当直または音声案内での対応になります。その場で専門の相談員が対応することもあれば、専門の担当部署を紹介されることもあります。受付時間も対応も都道府県警察本部ごとに異なります。
通話料は自己負担で、ダイヤル回線や一部のIP電話からはかけられません。かけられない場合は、お住まいの都道府県警察の「警察総合相談電話番号」に直接かけてください(番号は各都道府県警察の公式サイトに載っています)。
⚠️ いま被害が起きている・危険が迫っているという緊急時は「110」にかけてください。
5. 契約や支払いのトラブルが絡む場合は消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談する(最寄りの消費生活センターにつながります。土日祝日も、年末年始と施設点検日を除いて原則毎日利用できます。相談そのものは無料ですが、相談窓口につながった時点から通話料がかかります〈携帯電話からは20秒あたり11円程度〉)
6. 気づいた詐欺の情報は、フィッシング対策協議会に報告する(報告フォーム https://www.antiphishing.jp/registration.html から提供できます。実際に被害に遭った場合は、最寄りの警察署か、各都道府県警察の「フィッシング110番」など、サイバー事案の相談窓口へ通報してください)
※出典:
政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話『#9110』番へ」(2026年3月3日/取得日2026-08-21)
https://www.gov-online.go.jp/article/201309/entry-7508.html
消費者庁「消費者ホットライン」(取得日2026-08-21)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
フィッシング対策協議会「フィッシングの報告」(取得日2026-08-21)
https://www.antiphishing.jp/registration.html
⚠️ カード会社への連絡先は、お手元のカード裏面に書かれている番号か、カード会社の公式サイトで確認してください。あわてて検索して出てきた番号にかけると、それ自体が偽の窓口である可能性があります。
まとめ
- 「日本語がおかしいから見抜ける」はもう通用しません。文面ではなく行動のルールで守るのが今の基本です
- 通知が来たら「リンクは踏まない、確認は自分で公式アプリ・公式サイトを開き直す」の一択で対応する
- 万一入力してしまっても、カード会社・金融機関への連絡 → パスワード変更 → #9110/188への相談という順番を知っておけば、あわてずに動けます
- 多要素認証・パスキー・迷惑メール対策は、一度設定すれば普段は意識せずに守ってくれます。ただし振り分け機能は必要な連絡まで止めることがあるので、設定したら振り分け先も見る習慣を
今日の1アクションは、上の図解をスクリーンショットで保存しておくことです。次に怪しい通知が来たときに、すぐ見返せるようにしておきましょう。
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【ご相談について】本記事は一般的な情報提供です。個別の被害に関するご相談は、警察相談専用電話「#9110」・消費者ホットライン「188」など専門の窓口へ直接お問い合わせください。

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